味覚と病気 

 東洋医学では、病気は味覚と関わりがあると言われ、実際に私達の食生活を振り返ってみると、これがかなり深い関係にあることが分かります。病気を味覚の面から考えてみると…。
塩味…腎臓

 塩分を採りすぎると腎臓が悪くなり、逆に腎臓が悪いと塩辛いものが欲しくなります。
 最近、高血圧による病気が増えていますが、これは腎臓が血圧の調節もしているために塩分の採りすぎで腎臓の働きが低下して、高血圧になる場合もあるということです。塩分の採りすぎには充分注意することが必要です。しかし、塩は人間の体に必要なものであり、細胞をひきしめて体を暖める働きをしています。塩を使う場合には一般に使われている精製塩などは止め、自然の塩を使うようにしましょう。精製塩は体にとって本来の役割を果たしません。
甘味…消化器(胃・膵臓)

 消化器が悪いと甘いものが欲しくなり、甘いものを採りすぎると消化器が悪くなります。糖尿病などはよく知られているところです。
 甘いもの、特に砂糖は、体にとって必要でないばかりか、むしろ害になることが多く、できるだけ採らない方が良いでしょう。砂糖は麻薬のように扱われていた歴史があるように、習慣性が強く、いつも甘いものを欲しがるという状態になりがちです。そして砂糖は、採り続ければ消化器の病気だけでなく、心臓病、腎臓病、高血圧症などさまざまな病気を引き起こします。
 よく、疲れた時は甘いものが良いといわれますが、これは、砂糖に細胞を弛緩(ゆるめる)させる性質があるためです。つまり、砂糖を採ると一時的に筋肉の緊張がゆるみ、あたかも疲れが取れたように錯覚してしまうからです。しかし疲れなどの毒素は体に溜まったままですから、ゆるんだ細胞のままでは毒素を外に送り出す力もなく、疲労は後からより大きくなって現われます。子どもがよく風邪をひいたり熱を出したりするのも、甘いものの採りすぎが原因だと考えられます。
酸味…肝臓・胆のう

 肝臓が疲れてくると、すっぱいものが欲しくなります。妊娠するとこの傾向が強くなるのは、肝臓とかかわりがあるからです。このような時には果物などより、酢(食酢・梅酢など)などの発酵したもので少しづつ酸味を取るとよいでしょう。(酒の膳に出される「酢の物」は、アルコールで肝臓に負担がかかるのをやわらげるために出されています。)
 また、肝臓が悪いと、逆に酸味を全く、受け付けない場合もあります。
辛味…肺・大腸

 肺・大腸が悪いと辛いものが欲しくなり、辛いものを採りすぎると肺・大腸が悪くなります。
 辛味とは、カラシ、コショウなどの香辛料のこと。これらを大量に使った、刺激だけを優先させた食事は良くありません。
苦味…心臓

 苦いものを採りすぎると心臓が悪くなり、心臓が悪いと苦いものが欲しくなります。コーヒーの飲みすぎが心臓病につながることは最近話題にもなりました。
 味覚は偏りがなく、バランスのとれていることが望ましく、食事は全体に薄い味付けなのが健康には良いのです。

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